転職、採用関連では、売り手市場と言われ、企業は人材採用に苦労しています。しかし、人気企業に限ってはそんなことはなく、むしろ求職者のほうが入社したくても簡単には入れないという状況になっています。そのようにして求人倍率や「売り手市場」という言葉だけでは実態はつかめないというのが現状です。

そんな中、採用に成功している企業もありますが、その違いは何なのでしょうか。

ダイレクトソーシング、ソーシャル、リファーラル・・・・などなど様々な採用手法はありますが、今回は転職エージェントを活用して技術者採用を成功させているX社の事例をご紹介します。

X社は基本的に求人媒体などでは募集せずに自社ホームページと転職エージェントのみの採用活動を行っています。そして採用担当者Aさんの考えで、転職エージェントは当社と大手R社の2社のみしか利用していませんでした。

そのようなお話は以前から聞いてはいましたが、改めて何故そのようなやり方を続けてきたのか聞いてみました。

X社が求人媒体を使わない理由

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相澤
御社は東証一部上場企業ですし、大手なので求人媒体に掲載したほうが多くの応募者が集まるのではないですか?
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X社採用担当Aさん
当社は、東証一部上場企業だけど、開発している製品、業界が一般的にあまり知られておらず、大々的に求人媒体で募集をかけても実は応募者が集まらないんだよね。
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相澤
そうなんですね。私はこの業界専門なので、御社の知名度は高いというイメージなんですけどね。
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X社採用担当Aさん
仮に沢山応募者があったとしても採用担当者としては私一人しかいないから処理しきれないよ。それに求人媒体を使った募集の場合、明らかにミスマッチという方まで幅広く応募が来てしまう可能性もあるから、そのような煩雑な事務処理を避けるためという理由もあるんだよね。

転職エージェントを2社に絞っている理由

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相澤
ところで、何故御社は2社しか転職エージェントを使っていないのですか。
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X社採用担当Aさん
当社の業界は特殊だよね?だから、多くの転職エージェントを使っても、技術的な理解ができる転職エージェントはほぼいないんだよね。技術的な内容や働き方を理解できないと求人媒体を使った募集のように多くのミスマッチ候補者を紹介されることになって、大変だから💦

何故当社とR社の2社なのか

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相澤
お話を伺って、求人媒体を使わなくなった理由、転職エージェントを絞っているということは、分かりましたが、何故大手R社と、当社のような小さなマニアックな転職エージェントの2社だけにしたのですか?
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X社採用担当Aさん
実は切り分けて依頼してるんだよね。
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相澤
切り分けとは具体的にどういうことでしょうか?
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X社採用担当Aさん
当社は研究開発部門と技術部門が明確に分かれているよね。だから、技術経験がマッチしている技術者だけでなく、研究開発部門で求められる高い学力(=高学歴)を持った人も採用したいと考えているんだ。
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相澤
人材紹介も研究開発部門と技術部門を分けていると。
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X社採用担当Aさん
そう。R社には専門的な技術内容によるマッチングは求めず、理系であれば分野限定せず高学歴の方のみ沢山の人数を集めてもらうという依頼をしている。
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相澤
確かに当社の場合、沢山の人を集めてリストで紹介するということは出来ないですね💦
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X社採用担当Aさん
そうだよね。それで、御社には技術部門向けに、数ではなく、ピンポイントで詳細の技術的な情報や、働く環境、期待することなど様々な細かい情報を伝えて、紹介した人は必ず入社に至るということを期待して進めているんだ。相澤さんはこの仕事で付き合うようになるもっと前から当社の製品や業界、さらにに内部のことまで良く知っているから、話をすれば理解してもらえて便利なんだよ。
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相澤
そう言っていただけると本当に嬉しいです。

企業、応募者双方を良く理解している転職エージェントを利用する

X社の採用担当者Aさんのお話を伺ってみると、求人企業には深く深く入って行かなければ、良い転職支援は出来ないということが良く分かります。

転職を考えている方の視点に立ってみても、求人企業の深い情報があったほうが、間違いなく良いです。そのような視点で転職エージェントを選ぶと、自分にとっての良い企業に出会うことが出来るのではないかと思います。

採用の形はどんどん変化していく

世の中はどんどん変化していきます。採用の世界でも同じです。今回のX社の事例は、多くの採用手法や考え方のうちのほんの一例、そして現時点では成功しているやり方というだけです。

各社のカラーがあると思いますので、自社ではどのようにするのが最善かを考え、実験しながらベストな方法を探し出していくという地道なやり方が、成功への近道なのではないかと考えています。

また、その時その時の採用トレンドもありますので、ずっと同じやり方をしていると、自分のところだけ採用出来ないということにもなりかねません。

変化に柔軟に対応しながら、採用マーケティングという視点で取り組んでいく必要があると思います。

弊社の場合、技術者を紹介するだけではなく、採用コンサルという視点でのご支援をさせていただいておりますので、是非個別にご相談いただければと思います。