我々が普段転職支援させていただいている技術者の方は、ご自身の職種や業界についてだけでなく、人材業界の話に興味を持たれる方が少なくありません。

今回は、製造業界や技術職としてではなく、人材業界から見た転職市場や状況はどうなっているかといったお話をさせていただきます。

人材紹介のマーケット

2017年度の人材紹介の手数料収入は4,395億円となっており、年々上がってきています。

その背景として、下記が挙げられます。

人材紹介マーケットが年々成長している背景

・職業紹介免許の取得緩和
・求人広告予算を人材紹介へ
・外部リソースの活用

職業紹介免許の取得緩和

テクノロジーの進化で新たな職種が生まれるなど、今までにないほどのスピードで働く環境が変わってきています。国は雇用の流動化を進めるため、職業紹介事業者を増やそうと、免許の取得緩和を行いました。

その結果、新規参入の人材紹介会社が劇的に増え、人材紹介マーケットの拡大につながっていると考えられます。

求人広告予算を人材紹介に

このようになってきた理由は様々あると思いますが、最近では大手が人材紹介に大きな期待を持っているという動きがあります。

HR総研が求人企業に対して行ったアンケートでは、満足度ランキング1位が人材紹介という結果になりました。

求人サイトに掲載しても思うように採用できなくなってきたことで掲載課金の掛け捨てよりも完全成功報酬型の人材紹介を選ぶようになったことや、多くの人材を一括採用するのではなく、ピンポイントでの採用活動の動きが顕著になってきたこともあると思います。

外部リソースの活用

人材データベースを持っているリクナビやdodaなどの大手企業が、転職支援を希望している全ての会員に対してサービスをしきれていなかった部分を外部(他の人材紹介会社)に開放したことで、マーケットが拡大したと考えられます。

求職者ファーストになってきた

人材紹介会社は求人企業から報酬をいただいているため、「顧客は誰?」というと求人企業になります。そのため、求人企業から求人案件をいただいて、その要件にあう人材を探すという動きが一般的でした。

しかし、今は求人案件ありきから、求職者ありきという動きになってきました。

その背景としては下記が考えられます。

求職者ファーストになってきた背景

・求人企業の採用難の加速と拡大
・人材紹介会社の集客難
・テクノロジー向上によるアナログの介在価値

求人企業の採用難の加速と拡大

求人企業は、売り手市場による採用難。そして更に今後は労働者人口減による人材不足の拡大が懸念されます。各社人材の取り合いが加速していくことは間違いありません。

そのような流れから求職者だけでなく社員にとっても魅力のある企業とは何かを考え、実行していく求職者ファーストにならざるを得なくなってきました。

人材紹介会社の集客難

求人企業同様に人材紹介会社も集客難に陥っています。人材紹介会社にとって顧客は求人企業ですが、今は求職者ありきで、その人はどこで活躍できるかを考えた転職支援スタイルになってきています。

求職者にとっては、しっかりと自分にあった企業を探して紹介、推薦してもらえるので、人材紹介会社を使うメリットが大きくなったと思います。

テクノロジー向上によるアナログの介在価値

AIによるマッチングやRPAなど、テクノロジー向上が進めば進むほど、アナログでの介在価値が上がってきます。例えば過去、現在、未来のWillを踏まえた本人も気づいていない可能性を優秀なキャリアコンサルタントであれば見出してくれます。また、人が対応する安心感などメンタル面でもアナログでの対応が重要になってきます。これらはテクノロジーでは解決できません。そのようなことから、これからは求職者に寄り添った支援に価値が高まっていくと思います。

新たなニーズが出始めている

中途採用というと、経験者で出来れば若手〜中堅を採用したいというニーズが一般的でしたが、最近ではそうではない動きが出てきています。

新たなニーズ

・若手未経験者
・地方、シニア
・外国籍

若手未経験者

弊社がお付き合いさせていただいている企業様でもここ数年で未経験者や経験が浅くても自社で教育するから紹介して欲しいといったニーズが増えてきています。ただ、これは求人企業と人材紹介会社が深いリレーションを構築していないと出てこない話です。

そうではない場合、入社してみてこんなはずじゃなかったなどの問題が起きる可能性があります。未経験可という求人があっても、選定するのは簡単ではありません。

求人企業の情報をしっかりと持っていて、求人企業と良い関係が構築できている人材紹介会社を選ぶことが大切です。

地方、シニア

内閣府は、東京一極集中を是正して、地方の人口減少に歯止めをかける地方創生の施策を進めてきました。その結果、地方に本社や拠点を作る企業が出てきたり、地方へ移り住む人も出てきたりと採用ニーズが増えてきました。

また、高齢化が進んだ際にシニア活用は必須ということは皆同じ認識かと思いますが、その対策はなかなか進みません。そのような中、実際にシニアの採用を進めたり、検討し始める企業も少しずつ増えてきました。

外国籍

国内労働者人口の減少が進んでいくと、ますますダイバーシティの考え方が重要になってきます。最近では、外国籍人材専門の人材紹介会社を設立するところも出てきました。

まだまだありますが今回はこの辺で

今回は、技術者の皆様には直接関係のない内容かもしれませんが、何故か興味を持って聞きたがる技術者が少なくありません。

確かに全く参考にならないかというとそんなことはなく、このような人材業界の中で、自分はどのようにキャリアを考えていったら良いかを考えるには必要な話なのかもしれません。

話としては、まだまだ沢山あるのですが、キリがないので今日はこの辺で終わりにさせていただきます。