ものづくりの世界では、拘りをもっている技術者/エンジニアの方が多くいらっしゃいます。それぞれの拘りの種類は、業界や製品、職種によって様々です。その中でも、【無駄の重要性】に拘っている技術者に出会った話を書かせて頂きます。

『無駄が必要!』と語った技術者とは・・・

まず、『無駄』という言葉を辞書で調べると、『役に立たないこと。それをしただけのかいがないこと。』と出てきます。つまり、無い方が良い事と考えられるのが一般的です。しかし、この『無駄』が必要と語る技術者、どういう意図なのでしょうか。

『世の中にないものを創り出す』という仕事

その技術者は、ある製品の専業メーカーで、『世の中にまだないものを創り出し、世界一を目指す』という熱い想いで製品開発に向き合っています。そして、その方が仰る事には、

『世の中にないもの創り出す時に、効率良くなんて言う事は出来ない。無駄かどうか分からないけど、とにかくチャレンジしながら色々試してみて、100のチャレンジから1の可能性を導き出せれば成功だ』

私は、なるほどと思いました。

効率よく仕事をするには、仕事のスタート、プロセス、ゴール、という流れがある程度分かっていないと、出来ない事だと思います。ですので、全く新しい開発、繰り返しでない仕事をする上では、効率化とは無縁の部分があって当たり前です。

そして、その多くのチャレンジの中には、無駄に終わるものもありますが、低い確率で成功につながるものもあり、その少ない成功こそが、新しいものづくりへの糸口なのですね。

技術者の考え方の違い

しかし、この話を聞いた技術者の反応は二つに分かれます。

『まさに、ものづくりの醍醐味はそうですよね!とことん良いものを創り出すために追求する。そういう仕事をしたかったんですよ!』

一方では、

『それって、なんだかんだ非効率な仕事の仕方を肯定する、ブラック企業的な発想ですよね?そういう事を言う人を上司にはしたくないですね。』

さて、皆さんはどう感じますでしょうか。

キャリア支援との共通点

実は、この技術者の方の意見に私が共感したのは、キャリア支援の仕事というのが正に『無駄になるかもしれない事も必要』だからです。正解のない仕事というのは、全てそうなのだと思います。

それでは、今回のテーマに沿って仕事を選ぶ場合、どう考えるべきか、それはその正解のない仕事に遣り甲斐を感じるかどうかです。

前述の否定的な意見の方は、同じ技術者でも、『答えのあるものづくり=実績のあるものの真似や繰り返し』をした方が良いかもしれません。かなり狭い世界になってしまいますが・・・