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表面的な情報だけで企業選びをしていませんか?

簡単に欲しい情報が手に入る

AI導入やデジタルマーケティングなどによるサービスの普及が加速しています。多くの情報を手に入れることで、ますます充実した生活を送ることができるようになりました。

転職市場においても、以前と比べてご自身により適した情報が手軽に入手できるようになったと実感されている人も多いのではないでしょうか。あまり労力をかけずに会社を移ることが可能になってきたように思います。そのような環境に慣れてきたからでしょうか、転職のチャンス、すなわち新たな企業との出会いが増えたことにともない、しっかり熟考せずに動いてしまう人も増えてきたように思います。

熟考せずに行動に移してしまう人は、提供された求人情報や口コミなどの情報を見聞きすることで、企業を理解できたと思ってしまいがちのようです。

事例1「〇〇〇社で働いてるならウェルカム!」と言われ転職

試用期間中に転職相談にいらしたAさんの事例です。

企業から届いたオファーレターに「〇〇〇社でのご経験があれば即戦力でご活躍いただけます。」という内容が書かれていたと言うAさん。オファーに返信すると、すぐに面接依頼がありました。面接の場でも「〇〇〇社で働いている方に来てもらえるなら頼もしい!」「〇〇〇社の技術力は業界でも定評がありますからね!」と終始ウェルカム状態でした。

Aさんが在籍していた企業のコアな技術は業界で知名度が高いので、そこで働いている人なら間違いない、という前提での面接が盛り上がるあまり、Aさんはオファーポジションや求めている要件の詳細を確認することなく、求人企業側もAさんの在籍企業の評判をそのままAさん自身のスキルや成果に置き替えてしまうような展開になっていたのでした。

双方が表面的な情報で判断したまま入社が決定、Aさんに対する過大評価があったことが実務に携わるなかで徐々に明るみに。Aさんは「このまま継続して働くことはできないので、試用期間中ではあるが転職先を探しています。」と相談にいらっしゃいました。

事例2「友人が薦めてくれた企業だから良いと思って」転職

学生時代の友人に転職しようか悩んでいると相談したBさん。友人とBさんの共通の知人が勤務している企業が中途採用を募集していることを教えてくれました。

友人によると「良い会社だと聞いている」とのことで、Bさんはその企業で働いている知人に連絡し、直接聞いてみることにました。企業規模はさほど大きくはありませんが、離職率も低く働きやすくて良い企業だということでしたので応募することにしました。知人の方を通じて役員へと話をしてもらい、すぐに面接の場が設けられました。

面接では「Bさんがこれまで経験してきた業界とは異業種になるけど大丈夫ですか?」と聞かれましたが「技術者として新たなスキルが身につく良いチャンスになるのではないか」と捉えていましたし、何より「良い会社」だと薦められたことが一番の安心材料でした。

入社が決まり実際に働いてみると、職場の雰囲気は良かったのですが、前職との違いを感じて戸惑うことが多々ありました。業種や企業の立ち位置によって、仕事に対するかかわり方や進め方も異なりますし、Bさんの場合は選考が進む過程で、そのような具体的な状況を詳細に確認するタイミングがあったように思います。しかし、周りの人たちが良い企業だと言っていることで、情報にフィルタをかけ良いように解釈していたのかもしれません。前職との違いをなかなか受け入れることができず、日に日に不安が大きくなっていきました。

「誰かにとって良い企業」が「自分にとっても良い企業」かどうか、それを判断できるだけの情報収集や具体的な確認作業をせず表面的な話で感覚的に決めてしまったBさんは再び転職活動を始めています。

事例3「書類に書いてあるからわかるはず」の転職活動

なかなか選考が進まず、内定が得られないと相談にいらしたCさんの事例です。

Cさんは求人サイトに掲載されている企業情報や募集要項を隅々までチェックし、ご自身の希望に合う企業かどうかを見極めてからエントリーしていました。そのため、書類選考を通過した場合は、「書類選考合格ということは、自分の経歴が企業の要望にマッチしているということだし、企業のことはしっかりチェックしているから、面接では多くのことを話さなくても大丈夫だろう。」と考えていました。

もともと話すことがあまり得意ではないCさんは面接にニガテ意識があり、企業が知りたいであろうご自身のスキルや実績は「職務経歴書を提出することでほとんど伝わっているはず」という認識でした。

実際の面接では、提出した職務経歴書をもとにさらに業務経験をたずねられたり考え方を問われたりと、いわゆる「深堀り質問」をされることはよくあることですが、Cさんは心のなかで「経歴書に書いてあるからわかるはずなのに…」と思いながら回答していました。

企業側から「質問はありますか?」との逆質問にも、Cさんはほとんど質問することはありませんでした。「求人票に書いてあるからわかっているので」と、質問することはないと言うのです。事前に手に入れられる情報が多いことで、理解できていると思ってしまうことに、話すことが得意でないためなるべく会話せずに面接を終わらせたいという思いが加わってのことだと思います。

表面的に得られる文字情報だけではご自身の価値観に変換されて解釈していることもあるので、それだけで理解できたとするのは早計です。Cさんは結果的に、内容が薄く理解が深まらない消極的な面接を繰り返すことになり、選考が進むことはなかったのだと思います。

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まずは手にとれる情報から興味を持つのは当然のことだと思いますし、すぐに行動に移すことは「フットワークが軽い」という表現もできるかもしれません。しかし、転職といった大事な決断をする場面では、立ち止まり理解を深めることができるようにしたいものです。一人では判断することが難しい場合は、周囲の人や転職エージェントに相談するなど、デジタルな面とアナログな面をうまく活用して自分に合う場所を見つけていきましょう。

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