転職面接では、自分を良く見せたい一心から、うまくカッコ良く話をしようとしてしまいがちですが、結局は自然体が一番です。
以前、離職期間がそろそろ1年になるというAさんの転職支援をさせていただいた際のお話
離職期間1年というだけで、後ろめたく感じてしまうかと思いますが、退職理由とその後、どのように過ごしていたかについての説明も非常に悩ましいという状況でした。
しかし、Aさんは今までゼロから一にすることをやり遂げてきたり、基礎学力が高かったり、コミュニケーションもしっかりとしていたりと、ポテンシャルを秘めた優秀な若手技術者だったため、退職理由については誤解のないようにしっかりと伝えていきたいと考えていました。
どうやって説明をしたら、応募先企業へ納得してもらえるのだろうかと二人で考え、何度も修正しながら文章にまとめていきました。
(実は、この時点で進め方、考え方が間違っていました。)
退職理由のメインは上司、先輩とカラーの違う2種類のパワハラで、だんだんときつくなってきて辞めてしまったということなのですが、面接あるいは書類選考では、初めて聞く人の話になりますので、ストレートに伝えると、「耐える力がないのではないのか。」「また同じように辞めてしまうのではないか。」と思われてしまう可能性があります。そうならないようにと、その点については、小さなことでも良いから他の理由はなかったかということを思い出してもらい、全て書き出してまとめていきました。
そして、出来上がった内容を言葉にしてみると、一見納得できそうな内容にはなっているものの、どこかで話がつながりません。
さらに、退職後については技術職ではない職種で活動をしていて、今に至るという状況で、通常納得のいく説明は出来ない状況でした。
そこで、一度全てリセットして、面接の本来の目的に立ち戻ることにしました。
面接対策はきれいに着飾る準備をするものではないのに、私自身が焦って良く見せようという方向になってしまっていたのです。
そこからは、改めて全て事実を並べてみて、Aさんに言葉に出して説明してもらいました。するとこれが全く違和感なかったのです。Aさん自身も「これならストレートに話しているだけなので、自分自身も納得感があり、話しやすいです。」というので「それじゃ、そのままで行こう!」ということになりました。
そして、書類も通過し、面接当日は緊張しながらもしっかりと素直な自分が出せたことで、応募先企業から内定をいただくことが出来ました。
初めからAさん自身が経験してきた今までの流れを、ノイズなしにストレートに話すということに重点をおいてサポートしていれば、こんな回りくどいことにならなかったのです。
転職支援をしている身として、非常に反省すべき対応でした。
正しい面接対策は企業に合わせるのではなく、自分軸をしっかりと整理すること
良く見せようという思いは悪いことではないと思いますが、表面的なものはやはりボロが出ます。いわゆるテクニックに走るのはNGです。
例えば、企業のホームページを見て、社長のメッセージに合わせるような回答、PRをしたり、企業がアピールしているような部分に自分を合わせていったりする面接対策もありますが、それが仮に上手くいって入社したとしても、入社後にお互い「こんなはずじゃなかった。」となる可能性もあります。
そういった部分からも、お互いのことを正しく理解した上で、採用を決める、入社を決めるということが大切なのです。カッコつけてばかりいたら、本質は見えなくなってしまいますよね。
自分が転職先に求めるポイント(自分の軸)をしっかりと整理し、そのポイントに応募先企業が当てはまっているから応募したということをしっかりと伝えること、そしてありのままの自分史、パーソナリティを簡潔に分かりやすく伝えることが大切です。それで企業側が「いいね!」となれば入社後もお互いに「良かった」と思えるはずです。
自然体で面接に臨むことができるように意識する
究極の面接対策は、素直に自分自身のことをしっかりと伝えられるように準備して自然体で臨めるようにすることだと思います。
ネガティブな要素があったとしても(大抵誰もがあるとは思いますが)、「ありのままの自分で良いんだ」と思うことから始めて、まずは、ストレートに自分のことを書き出してみることをおすすめします。
ただし、ストレートに伝えるだけで良いのかというと実はそうではありません。そこからどのように伝えるのかが重要になってきます。その点については人それぞれ異なりますので、都度アドバイスさせていただき、内容を仕上げていくことが必要です。
あと、面接対策というと試験対策みたいで、本来の面接の目的とズレを感じるので、面接準備という言葉が我々が行っている支援内容にはあっているかもしれません。