前回のブログ『技術者、初めての転職活動(応募開始編)』では、求人への様々な応募方法から、応募する方の性格や考え方による応募や転職活動に関する方法や事例をご紹介させて頂きました。今回は、その次の段階、つまり、求人応募の次の段階ですから、面接の準備となります。
面接対策って何をするのですか?
初めての転職活動であれば、まずはこの疑問からスタートするでしょう。新卒の時に就職活動をしていれば、多少はイメージが出来るかもしれませんが、転職活動となると、また違う要素が入ってきます。
因みに、転職面接全体に関する情報を知りたい方は、『面接に関する別ブログ』もご確認くださいませ。
企業研究
面接対策で必要とされる事の中に、『企業研究』という事があります。理想は応募前に終えていれば良いのですが、なかなか面接をしてもらえるかどうかも分からない段階では、気持ちを入れた『企業研究』は出来ないものです。では、そもそも『企業研究』とは何なのでしょうか。
企業の事をよく知ること
ご自身が面接を受ける企業の事を詳しく調べて知る事、これがまず必要な『企業研究』です。企業の歴史、規模、事業内容、製品、企業理念、顧客、・・・調べるべき事は沢山あります。ホームページのある企業でしたら、隅から隅まで見る事はもちろん、それ以外の方法でも情報収集は必須です。もし何かの特集記事にその企業が載っていたりした場合、非常に分かりやすい情報が得られると思います。また、最新製品の情報も見逃せません。
企業の事をよく考えること
企業の事を詳しく調べて知る事が出来れば十分なのか?それは十分ではありません。何故ならば、知っているだけでは語れないからです。面接で話すという事は、企業情報を使ってどう伝えるか、という事が大事です。ですから、企業を知ったところから、更に企業の事をよく考えて、面接で伝えたい事に結びつける必要があります。企業は社員に何を求めているのか。顧客は何を求めているのか。この先どういう方向性なのか。その企業へ自身が入社したとして何が出来るのか。等々、色々と考えておくことが、面接で語れる事、伝えられる事に繋がります。
求人の事までよく考えること
求人に応募する訳ですから、その中身まで理解しておきましょう。どういう職種で、実際に担当する範囲はどこからどこまでか、何の経験を求められているのか、製品はどういうものか、どういう人事制度なのか。求人票の精度はバラバラですので、得られる情報は限られます。しかし、他の情報から想像できる事もあります。例えば、HP等で製品を詳しく調べる事で、それを設計するのに必要なスキルも想像できます。とにかく、自身がどういう求人に応募しているのかを、可能な範囲で詳しく理解し、考えておきましょう。
面接自体の対策
面接は、面接官と被面接者が対峙し、お互いの理解を深める事で選考します。こうでなければいけない、という事はないのですが、王道のパターンというのがありますので、まずはそれに合わせた準備をする事が必要になります。
ほぼ、必ずのように聞かれるお題、質問
大概の企業の面接で問われる事が幾つかあります。まずはそれを確認して、準備してください。
自己紹介、経歴説明など
まず最初に面接官が言うのは、『自己紹介をしてください』、『職務経歴を説明してください』、『今までの会社と仕事を説明してください』という内容です。これらはほぼ同じ意図ですし、ほぼ必ず聞かれるので、しっかりと準備しておきましょう。準備のコツとしては、要点をまとめて長くなり過ぎないようにすることです。経験年数や経験社数にもよりますが、2~3分位にまとめると良いでしょう。
退職・転職理由
同様に、ほぼ必ずのように聞かれるのが、『なぜ退職したのですか?』、『どういうきっかけで転職を考えたのですか?』という質問です。この質問で大事なのが、『その面接でどう伝えたいか』です。何故ならば、転職を考えるきっかけや理由というのは、幾つもある人が多いからです。その中で、何をどう伝えたいかを考えなければなりません。また、面接官は何を気にしているかというと、『仕方ないと思える理由か』、『また同じ理由で辞めないか』という点です。ネット情報等で、『面接官ウケが良い退職理由』というのを見かけますが、あまり実践的でなかったり、業界や職種によるので汎用的でないものが殆どです。
志望動機
続いて聞かれる可能性が高いのが、【志望動機】です。面接官にとっては、『こんなに沢山の企業の中から何故ウチなのか?』 その根拠や本気度を知りたがっています。意欲を大事にする企業によっては、志望動機の内容を重視する企業も少なくありません。
その他の聞かれる内容の傾向
上記の定番質問以外は、それぞれの企業によって変わってきますが、ある程度カテゴリー分けも出来ると思います。
履歴・経歴に関する質問
その人のルーツに関して、場合によっては幼少期から、学生時代、就職時、就職後、と言う風に、『何故その道を選んだのか?』、『選んでみてどうだったか?』という内容が多いようです。また、ものづくり技術者の場合の質問で、『ものづくりに興味を持ったきっかけは?』という質問もあります。
技術経験に関する質問
もちろん、技術職であれば技術的な経験・知識に関する質問は必須です。経験分野と、それが自社でどう活かせるか、という目線での質問が多くなりますので、ただ経験を答えるだけではなく、その企業を意識して答えるようにしましょう。
適応性に関する質問
中途で受け入れる企業にとって気になる事の1つに、【適応性】というのがあります。どんなに優秀な方でも、自社に馴染んでくれるかどうか、というのは非常に気になるところです。実際の質問の内容としては、『過去の人間関係』、『コミュニケーション能力』、『仕事の取り組み方・考え方』、等を聞かれる傾向があります。
ストレス耐性に関する質問
最近多くなっているのが、この質問です。どうしても、世の中的にストレスやメンタルによって仕事を続けられなくなる人が増えているので、企業側も気にしているようです。
自立性に関する質問
企業が知りたい情報の中に、【自立性】というのがあり、最近特にそれを重要視する企業が増えています。日本人、技術職・理系の人は、【受け身】になる人が多いと思われていますが、企業としては『自分で考え行動できる人』を求めている為です。
パーソナリティに関する質問
仕事の話だけでなく、『どういう人なのか?』というのは面接官が知りたい内容です。趣味、休日の過ごし方、どんなことに興味を持つか、長所・短所、等が実際に聞かれる内容です。人物重視の企業ほど、この質問を重視し、質問数も多くなります。
面接の質疑応答に関する注意点
全体的な注意点として、幾つかご説明致します。
嘘をつかない!
当たり前のことですが、自分を良く見せようとすると、嘘をついてしまう方がいるそうです。確かに、何かを求められている質問をされた時に、それに答えなくなる心情は分かります。一生懸命に答える姿勢は大事ですので、嘘だけはつかないようにしてください。後々必ず困ることになります。
しっかりと伝える!
よくある失敗例で、『ただ質問に答える』、『ただ思ったことを喋る』という事があります。面接ではこういう事ではいけません。しっかりと面接官に【伝える】という意識が大事です。質問はどういう意図か、それに対して何を伝えるべきか、しっかりと考えて【伝える】事が必要です。
自己アピールをしっかりする!
謙虚な傾向が強い日本人は、【自己アピール】が苦手な傾向にあります。しかし、面接は【自己アピール】の場です。『大した事はしていないのですが・・・』、『少ししかやっていないのですが・・・』、『簡単な内容しかやっていないのですが・・・』、という話し方は適していません。【事実を述べる】という事が大事なので、自身の感情や感覚を入れた【謙虚な意見】は、自身の実力を下げて伝えてしまう危険性があります。はっきり言ってしまうと、『大した事ない経験の人ならば採用しません』というのが、中途採用です。
想い・意欲を伝える!
面接の選考を考えた場合に、選考がボーダーラインに乗った場合に、最終的に結果を左右するのは、その人の【想い・意欲】です。それは、仕事の成果や、成長に繋がるからです。面接官の心を動かすくらいの気持ちで、【想い・意欲】をしっかりと伝えるようにしてください。
まとめ
面接は、しっかりとした準備が必要です。『この結果で人生が変わってしまうかもしれない』という気持ちで臨んで良いと思います。上記のように、ある程度、面接の傾向と言うのがありますので、その準備をしつつ、世の中にある【面接マニュアル】のようなものを鵜呑みにしないように気を付けてください。
あくまでも、面接というのは、人間同士がお互いを知り、相性を判断する行為です。そこで、いかにご自身の人柄、技術者としての魅力、想いを伝えらるかどうかですので、形式に拘らずに工夫してみてください。
実際に独自の資料を作成して、プレゼン形式での面接をして上手くいった方もいらっしゃいます。
面接は、ご本人のオリジナリティを出したり、他人と差をつける事も大事になりますので、ご自身なりの工夫や、やりやすさを求めた準備等は効果的です。
たったの1時間程で人生を左右される結果が出る事もありますので、後悔のない準備をして臨みましょう。