転職相談の中で、希望条件は必ず聞きますし、それと合っている求人・企業へ応募するのは当然の事です。しかし、なかなか希望の求人に出会えずに、応募すら出来ないという方もいらっしゃいます。そんな方々への参考情報として、各希望条件ごとに書かせて頂きます。今回は、<勤務地編>です。
希望条件が多い人の事例
まずは、全体像を見てみましょう。希望の条件になかなか出会いない原因の1つは、希望条件が多いというパターンです。希望条件が1つの人と、希望条件が5つの人、そしてその全てを満たそうとする人では、必然的に合う求人が少なくなりますよね。我々にご相談される方々にもこのような方は居ますので、過去の事例として書かせて頂きます。
働き方を重視するパターン
真っ先に思いつくのがこのパターンで、この中から、今回は<勤務地編>として、更にパターン分けをして見ていきましょう。
<勤務地>の自宅からの通勤距離・時間・ルート等
昨今の転職において、最重要項目と言っても過言でないのが、勤務地だと思います。もちろん、年齢や家族構成によって差異がありますので、この情報に共感されない方も多いとは思いますが、技術者の転職支援をしている現場目線では、平均的に見て最重要項目と言えます。勤務地はもちろん近い方が良いのですが、現実的には『自宅から通勤可能範囲』という希望を聞くことになります。これがなかなか難しくて、『距離』、『実際の通勤時間』、『通勤方法』、『ルート』という風に最低でも4つに分類されます。
『距離』に関して
『距離』に関しては分かりやすいですが、直線距離と、通勤ルートの距離があります。直線距離を気にする人は地域重視で、同じ都道府県内ですとか、川を渡らないところですとか、そういう地域としての基準があるようです。通勤ルートを気にする方は、日々の往復ルートですので、時間を考慮した距離を設定している方が多いようです。
『通勤時間』に関して
より現実的なのはこちらでしょう。実際に通勤時間がどれくらいかかるのかが重要になります。例えば、都心部では電車通勤で1時間30分までは普通だと言われたりしますが、気持ち的には短いに越した事はないでしょう。その為、個々人によって求める通勤時間条件が異なります。また、電車通勤と自動車通勤、その他バスやバイク、自転車等によっても異なってきます。例えば自動車通勤は疲労度も関係していますので、1時間以内という希望が多いようです。バイク、自転車の順で更に短くなる傾向があります。
『通勤方法』に関して
前項でも触れましたが、どの方法で通勤するかという事も条件に加わってきます。よくあるのが、『自家用車で通勤したい』、『電車には乗りたくない』、『車は使いたくない』、『車は持っていないし買いたくない』、『バスは不規則なので乗りたくない』、『駅から遠い会社は通いたくない』、『バイクで通いたい』、『自転車で通いたい』、『徒歩で通いたい』、という風に、希望割合は違いますが、思いつく範囲でもこれだけの希望が出てきます。特に、『自家用車』or『電車』のいずれかというのは多くて、『自家用車』を希望する方は、車通勤に慣れてしまって、快適さを失いたくないという理由や、満員電車や電車遅延などのストレスが嫌、感染症対策という意味でも人混みは避けたい、中には電車酔いする、という理由が明確に出てきます。そして、『自動車通勤』を前提に自宅を建てたり購入していたりする方が多いのも事実です。
『ルート』に関して
実は、『ルート』に関しても、要望が出てきます。一番印象的だったのが、電車通勤の方で、『○○線は使いたくない』というものでした。理由は、都内指折りの混雑と、遅延の多さでした。通勤時間が許容範囲内でも、希望の電車通勤で駅から徒歩圏内でも、路線による拒否というもあるようです。その他にも、同じ路線でも上りと下りによる混雑差から、空いている方面を希望する方や、プライベートで頻繁に行きたい駅を通る事で通勤定期を活用したい方もいらっしゃいました。また、自動車通勤の方の場合はやはり混雑を意識して、『○○街道は使いたくない』という話はよく出る事例です。
<勤務地>を意識した転職の注意点
多くの人が気になる<勤務地>ですが、転職の場合は、現状との比較が発生します。しかし、<勤務地>だけで転職先を決める訳にもいきませんので、そこが難しいところです。
転居が可能な方
転居可能な方は、転職先に合わせて転居が出来ますので、転居可能範囲を考慮して<勤務地>を決めるのが良いでしょう。全国どこでも転居可能という方ももちろんいますが、最近多いのは何かの拠点に対して動ける範囲が変わるようです。例えば、ご実家に2時間以内で行ける範囲とか、パートナーの勤務地に通える範囲ですとか、趣味の拠点に行ける範囲ですとか。上手く調整できると、転職先の候補が増えます。
転居が不可の方
ご自宅を購入されていたり、家庭のご事情等で、転居不可の方もいらっしゃいます。その場合も、各条件から通勤可能範囲を判断頂く事になります。希望通りの<勤務地>が見つかれば良いのですが、見つからない場合は条件の見直しをするのも重要です。また、現地へ行ってみるのも大事で、『意外と大丈夫だった』という事があります。道が空いていたり、乗換がスムーズだったり、行ってみないと分からなかったという事例もあります。
実際に動く時の注意点
それでは、実際に動く時の注意点です。
転職を急ぐ場合
特に離職中の方の場合は、一刻も早く仕事を見つけたいと思います。ですが、焦りは禁物です。求人情報を見ながら、まずは<勤務地>の条件は広めに考えて、仕事内容などのキャリアとして重要な項目を重視して選びましょう。その上で、多少通勤が大変でも希望に合う企業・求人を重視する事をオススメします。もし、家から近いけど希望の仕事内容ではない求人を、『取り敢えず』で選ぶというのは結構危険です。結局数年中にまた転職したくなる可能性が高いのですが、その時には年齢が上がり、転職回数も増えますので、転職は更に難しくなってしまうのです。
転職を急いでいない場合
この場合は、やり方は2通り考えられます。まず1つ目は、まずは<勤務地>の条件は広めに考えて、色々な企業・求人を見てみるという事です。この時の注意点としては、急がず焦らず妥協せず、です。2つ目は、<勤務地>に関する希望条件を決めて、じっくり待つ方法です。求人は日々新しいものが出てきます。特に昨今は求人数が多いです。数ヶ月後にはより希望条件に近い<勤務地>の求人が出てくる可能性がありますので、待ってみるのも大事です。実際に、この待つ方法で希望の企業・求人に出会えた方も多くいらっしゃいます。
まとめ
<勤務地>に関する条件が発生するのは当たり前だと思います。しかし、それが最優先になるのは、技術者の転職活動としてはオススメ出来ませんので、あくまでも技術者としてのキャリア・希望を重視してください。その上で、希望通りの<勤務地>が出てこない場合には条件の見直しをするか、じっくり待ってみるか、ご自身の状況と照らし合わせながら考えてみましょう。転職活動に、『取り敢えず』は危険ですのでご注意ください。