作成日:2018年4月20日  更新日:2020年10月23日

現在あなたが働いている企業はどのくらいの規模ですか?転職を考える場合、企業選びのポイントとして「会社の大きさ」を挙げる方も多くいらっしゃいます。弊社へ相談にいらした方のなかにも企業規模をチェックされている方がいらっしゃいます。

ご経験がいかせる求人を紹介してもなかなか応募しない方がいました。その理由は、

「知らない企業名なので。知らないってことは大手じゃないですよね。」

と言われてしまいました・・・。ご経験もその他の要件もマッチしていただけにもったいない気もしました。

「是が非でも大手企業へ転職!」と考えている方もいらっしゃるかもしれませんが、それだけで応募企業を選定するのは早計ではないかと思います。まずは、ご自身のタイプや希望する働き方などから、適性な企業規模を考えてみましょう。

ネームバリューは気にする?

前述の方のように「知名度は大事。」という方もいるでしょう。歴史もあり、誰に聞いても知っている企業の多くは、いわゆる大企業です。しかし最近では、テレビCMなどで大々的な広告をしているベンチャー企業もありますし、上場している企業であっても地域によって知名度の差が大きく、大企業と言えど全国規模で認知されている企業ばかりではありません。

過去の事例としましては、東証一部上場の企業をご紹介したのですが「そんな企業があるんですね」とあまりご存知でなかった方が奥様に話したところ、奥様のご実家近くにその企業のメインとなる生産拠点があることがわかり、「実は妻の地元では有名な企業でした」と応募へ前向きになられた事がありました。

社員数も気になる?

ご相談に来られる方のなかにも「社員数が気になります」という方がいます。現職の企業が少ない社員数の場合は「多いほうが良い」と考えますし、その反対を希望される方もいます。

現在、社員数がかなり多い大企業にいる方ですと、「転職先は社員の皆さん全員の顔と名前が分かり、コミュニケーションがとりやすい企業が良い」という希望を持たれますし、少人数の中小企業にいる方は「組織も人数も今より多い企業が良い」といった具合です。

転職して「今とは異なる働き方が良い」と考えるのは当然だと思いますが、社員数を気にする理由によっては、あらためて検討したほうが良いとアドバイスさせていただくこともあります。たとえば、「上司とウマが合わない。ウチの会社は社員数が少ないからこの関係性はこれからも続く。今より社員数の多い企業へ転職すれば良い上司のもとで働けるだろう。」といった場合です。上司と合わない理由によっては「どのような規模の企業でも同様の事態は起こりうる」こともあり、それも踏まえて、社員数にはこだわらない企業選びも大事になってきます。

制度やしくみはどの程度確立されている?

人事制度や給与制度をはじめとする様々な規程・制度などは大企業の方が確立されていることでしょう。勤怠の管理などもしっかりとシステム化され、残業代や欠勤といった給与計算も一定のルールに則り、厳格に算出されます。また、昇級昇格の要件も明確に示されています。

一方で中小企業やスタートアップ企業などは大企業に比べ、規程に多少の曖昧さが見受けられるところが多いかもしれません。いわゆる「ブラック」な対応については看過できませんが、ちょっとした融通性はありがたい場面もあります。

業務フローもしっかりあるか?

人事制度などと同様に、実務においても企業ごとにシステムはさまざまです。たとえば、業務で使用するペン1本から大型案件の発注まで、購買に関わるすべてフローが確立されているのが大企業です。金額や用途により最終決裁者が決まっていて、購入のためのマニュアルや申請フォーマットなどが存在します。

このように、フローに則って業務を進めることができるのが大企業ですが、中小ではそこまでガチガチに確立されていない場合が多く、時には部署単位や担当する社員に対し臨機応変に動くことが求められたりします。

意思決定のスピードは大事?

業務フローが確立されている大企業では、どうしても物事の決定までに時間を要します。大規模な仕事ができることは大企業の魅力のひとつでありますが、規模が大きければそれだけ承認者も増えることとなるためです。

中小やスタートアップ企業では(大企業と比較すると)、経営層への相談や報告について介在する人が少ないためスピード感をもって仕事に取り組むことができます。そういった働き方を希望される方はやりがいを感じられることでしょう。

部署間の隔たり

社内組織が多ければ多いほど部署ごとのコミュニケーションが必要とされます。情報の共有がされていない、部署によっては根回しも重要なミッションといった悩みは「大企業あるある」かもしれませんね。そのような状況に疲弊感をおぼえ転職を考える方もいます。

中小規模の企業では隔たりが少なく情報共有も早くできる反面、曖昧な部分を残したまま進んでしまうこともあり、一部の部署や担当者の作業負荷が増えてしまうようなこともあります。

インフラや設備・システムは

大企業は社内設備や備品、インフラ関係において常に新しいシステムを導入、利用することができるでしょう。中小企業では大企業ほど頻繁に設備の入れ替えをすることはコスト的に難しく、大企業から中小企業に転職し、「最新のものが導入されるのが当たり前と思っていた。」とギャップを感じたという方もいます。

担当業務の範囲

多くの人が組織的に働く大企業では、業務の範疇が限定的であることがほとんどです。特定の業務を深堀りできるため「その道のスペシャリスト」となりえますし、いわゆる大きな仕事ができるのは大企業のほうが多いです。

中小やスタートアップ企業では、一人ひとりに任される業務が幅広いです。そのため業務工程も幅広く把握することができ、担当後の工程にも配慮した仕事ができるなど「マルチな活躍」が実現できます。また、技術的な専門業務だけでなく、ときにはテレアポといった営業の業務や来客のご案内などの庶務的な業務をしなければならないこともあります。

まとめ

今回ご紹介したポイントは一例です。ほかにも異なるところはさまざまで、転職の際に気になるポイントも人それぞれです。いろいろな角度からご自身に適するポイントを考えて、企業選定のヒントにしてみてください。

【ご参考表】
大企業と中小企業の比較表