転職活動の1つのゴールは、転職先が決まる事です。入社を最終的に決めるのは、転職活動を行っている方自身で、ご自身の希望・描くキャリアに合っているかどうかを踏まえて、入社するか否かを決めます。
しかし、その前に必要が事があります。それは、『内定を得る』事です。先に企業側から『採用したい』という意思表示をもらわないと、入社を決める事が出来ません。
内定がもらえない、という相談
実にシンプルで、実際に多い相談です。一生懸命転職活動をしていて、沢山企業に応募しているのだけれど、なかなか内定がもらえないというのです。これはもちろん、キャリア・転職支援をしている立場としては、何とかしてあげたい事です。考えられる要因を一つ一つ上げながら考えていきましょう。
書類選考が通らない場合
今回は、転職活動が具体的にスタートしたところから考えます。多くの採用選考において、最初の選考は書類選考になります。その最初の選考を通らない場合をまずは考えてみましょう。
応募書類の内容に不備はありませんか?
書類選考をする場合、最低限、履歴書と職務経歴書が必要になります。もちろん、その他に企業から必要な書類を求められる場合もあります。履歴書であれば、書式、記載内容、添付写真が主な内容になります。書式に関しては、JIS規格のものが一般的ですし、まず書式が問題で見送りになる方はいないでしょう。記載内容に関しても、ご自身の事なので間違いは少ないと思いますが、誤字脱字、年数の間違いというのが見受けられます。また、自己PRや志望動機等も重要です。過去に、志望動機の内容が明らかに違う会社の事を書いている事を指摘された方の話を聞いたことがあります。もちろん、書類で見送りでした。そして添付する写真ですが、これが意外と適正な写真でない方を見受けます。作業着姿、上着やネクタイなし、証明写真としての品質でない映りなど。写真屋さんでプロに撮ってもらうのが間違いないでしょう。職務経歴書に関しても、誤字脱字と年数の間違いは見受けられます。また、技術的な経験に関しても、書き方によって相手に与える印象も変わりますので、しっかりと経験と技術力が伝わるように工夫が必要になります。
マッチングは意識していますか?
【マッチング】という言葉をよく使いますが、要するに『求人内容に自身の経験等の条件が適合しているかどうか』です。多くの方は、転職活動を行う時に、この 【マッチング】 が高いかどうかを意識します。もし、これを意識していない場合は、当然書類選考通過率は下がります。 【マッチング】を意識しない理由は人それぞれでしょう。求人の魅力だけで決めている、敢えて経験と違う求人を選んでいる、企業のネームバリューや採用条件しか見ていない、等々。その場合は、書類選考が通りにくい事も同時に理解する事にしましょう。 一方、【マッチング重視】 しているのに書類選考が通過しないとしたら、色々と見直す必要があります。何故なら、自分自身の経験を活かして活躍できるかどうかを考え、企業ニーズに合っているかも考慮していれば、書類選考を通過する可能性は高いはずです。上手く 【マッチング】出来ていないか、その求人情報が本質と違っている可能性も考えなければいけません。もしくは、採用意欲の低い求人なのか、倍率が異常に高い求人なのか。明確な基準とは言えませんが、【マッチング重視】の場合には、応募の仕方にもよりますが、書類選考通過率が50%以下の場合は、 【マッチング】 やその他の問題を疑う必要があると思います。
一次面接が通らない場合
書類選考を通過した場合、大概の場合は一次面接に進みます。面接が上手くいかない方の場合も考えてみましょう。
企業研究はしていますか?
面接に臨む前に、その業界、企業、製品、技術、等をしっかりと調べておくのは必須です。しかし、意外な事に、この企業研究等を殆ど行わずに面接に臨む方がいらっしゃいます。理由として考えられるのは、何となく受けているから、沢山の企業を受け過ぎて企業研究が間に合わないから、必要性を理解していないから、等が考えられます。しかし、何となく受けに来た人、沢山受け過ぎて分かっていない人、企業研究の必要性を理解していない人、を採用したいと思う企業は基本的にありません。
面接対策はしていますか?
面接対策の必要性に関しても、個々人によってバラつきがあるようです。確かに、面接対策をしなくても上手くいく人はいます。しかし、ここでは上手くいかない人を前提にしておりますので、面接対策の必要性は高いという認識で話を進めます。面接でのコミュニケーションというのは、かなり特殊です。普段の会話等のコミュニケーションが得意だとか、営業トークが得意だとか、そういう事はあまりあてにならいと言えます。必ず聞かれる質問があったり、求められるものがあったり、面接以外ではあり得ない内容もあります。詳しくは、当サイトでも何度も面接対策については書いておりますので、ご参考にしてください。例えば、技術者、初めての転職活動(面接対策編)も分かりやすいと思います。
自己PRは出来ていますか?
面接では、自己PRをする必要があります。それは、相手に出来るという納得を得てもらう、期待をもってもらう等の為です。たまに、『職務経歴書を見れば分るでしょう』という方もいますが、全くもって間違った認識です。面接は言葉で相手に伝えるという重要な要素があります。言葉で伝えられなければ、立派な職務経歴書の内容が疑われる事だってあり得ます。
質問は出来ていますか?
これは、合否に影響する可能性は、他の項目に比べると下がりますが、『質問力』から、その人の企業理解、技術力、知識、意欲等を量る場合があります。質問が全く出てこないというのも問題ですし、意図がない質問も問題です。もちろん、的外れな質問、失礼に当たる質問というのも見受けられ、合否に影響する可能性があります。
役員面接以降が上手くいかない
一次面接を上手く通過したら、もうすぐ内定がもらえると思う人も多いと思います。実際に、『最終面接は顔合わせ程度』というアドバイスをするネット情報や、エージェントもいるそうです。しかし、実際はそんなことはありません。選考である以上は合否が存在します。
一次面接と同じ準備はしていますか?
一次面接で上手くいった事で気が抜けて、きちんと面接の準備を行わない人がいます。しかし、面接官が変わる事で、一次面接と同じような質問をされる事も少なくありません。一次面接と同じ準備をする事は、必要最低限と考えた方が良いでしょう。
一次面接を振り返っていますか?
二次面接以降は、一次面接の延長線上でもあります。基本的に、一次面接の内容を踏まえています。一次面接時の感想を求められたり、同じ質問をわざとされたり、一次面接の内容に関しての質問もあり得ます。実際に、『一次面接と二次面接で言っている事が違う』という事が減点要素になった事もあります。しっかりと、一次面接の内容を振り返った上で臨みましょう。
一次面接との違いを考えていますか?
一次面接と役員面接で何が違うのかは、その会社、面接官によって違います。しかし、少なくとも役員というのは経営層であり、人事担当者や技術部門長とは採用に対する目線が違うと考えて良いでしょう。その企業の経営層がどういう目線を持っているのか、何を重要視しているのか、この辺をしっかりと考えておくことが必要になります。特に社長面接となる場合には、ネット上でも社長のコメント等を見る事が出来る場合が多いですから、事前に確認しておくと良いでしょう。
内定を得たいという意志
苦労せずに内定を得る人もいますが、チャレンジングな転職をしたい方や、ステップアップをしたい方、人気企業で働きたい方等は、苦労せずに内定を得る事は難しいでしょう。しっかりと努力や工夫をしましょう。そして、工夫という意味では、他人と違う事をするという選択肢もあります。
他人と違う選考対策をしてみる
選考の中では、『面接官の印象に残る』というのも+要素に働く場合があります。あまりに特異な事をするのはリスクがありますが、選考が上手くいかない場合に工夫を考える事は良いと思います。幾つか、実際の事例をあげてみます。
プレゼンのような面接をする
営業職や企画職の面接だと少なくありませんし、企業側から求められる事もありますが、技術職では珍しいかもしれません。プレゼン資料を使った説明をすると、視覚的効果と、提案的内容、ポイントを絞ってのPR等、効果的に働いた事例です。
技術的作品を持参する
実際の製品(発売済)を持参した事例もありますし、経歴だけだとPRにならないので趣味で作っている作品を持参した方もいます。いずれも、面接官、特に技術者の心には響いたようで、良い結果を得ておりました。
その他の資料を持参する
これは正にその方々のセンスになるのですが、相手企業の事を考え、自分自身の得意不得意、PR要素を考えて、独自の資料を作成する事で面接を上手く進めた方々がいらっしゃいました。これらは正に、意欲と工夫の結晶だと感じました。
意欲を重視した選考対策を徹底的に行う
例えば、未経験職種へのチャレンジ等になると、何か資料を作ってPRするというのも難しくなってきます。それでも、気合だけでは上手くいきません。そこで意欲をしっかりと伝える事を重視した選考対策をするという成功事例もあります。しかし、この意欲を伝えるというのは、非常に難しいのですよね。ヒントとしては、意欲に繋がる根拠や理論、経験からの繋がり、そしてストーリーです。
まとめ
上手くいかなければ、立ち返って工夫するというのは、仕事でも他の事でも当たり前です。しかし、転職の選考となると、なかなかそういう切り替えも難しいものです。その理由の一つには、選考が上手く進まないと、ショックを受けたり、自信を失くしたり、という精神的ダメージがある為です。そしてもう一つは、どうすれば良いか分からなくなってしまう事です。典型例では正解を探し始めてしまい迷走する事です。正解はありません。上手くいかない時は、1人で悩んでも解決しません。そういう時こそ、気軽にご相談くださいませ。