勤務先での不満、全く無いという人はいないでしょう。その不満が大きくなり過ぎて、転職を選ぶ方が多いのも事実です。しかし、不満が小さくても少なくても、転職を考える方はいます。それは何故なのでしょうか。

勤務先への小さな不満

不満の大小は当事者次第の事情もある為、判断が難しいです。今回の定義では敢えて『小さな不満=就業継続可能な不満』と定義づけたいと思います。

想定される小さな不満

過去を振り返り、実際にお聞きする勤務先・職場での小さな不満というと、給与が少ない、残業が多い、人手が足りない、苦手な人がいる、仕事に飽きた、通勤が遠い、休みが少ない、等々。

転職意志に繋がるのか?

これらの小さな不満は、転職意志に繋がるのでしょうか?私の経験上、全ての小さな不満が、その方にとって大きな不満に膨れ上がった時に、転職へと繋がっていました。それぞれ事例を上げながら考えてみます。

給与が少ない

給与の基準は難しいです。その方の適性給与という言い方もありますが、絶対的な基準がある訳ではありません。よくある話が、『周りと比べて少ないらしい』、『上がらない or 下がった』、『生活が厳しくなった』、『将来への不安』、という内容です。

残業が多い、休みが少ない

残業が多いかどうかの基準も曖昧で、ある方は50時間残業しても普通と感じ、ある方は残業が少しでもあれば多いと感じる程の差があります。一般的には、36協定で定められるような、40~45時間/月 を超えたら多いと言われるようです。また、休みに関しては、年間休日で120日以上か未満かで、多いか少ないかを感じるようです。但し、休日出勤の回数や、休暇取得の可否も、休みの多い少ないの感覚に影響します。

苦手な人がいる

人間関係が小さな不満から、大きな不満へなってしまい、体調や仕事に直接影響する事も増えています。十人十色と言われる位に、人の性格や考え方はそれぞれですから、職場に合わない人がいるのが殆どかもしれません。その中でも、我慢できなかったり、意図的に相手に嫌がらせをする、最近で言えばハラスメントがある等、非常にデリケートな問題を含んでいます。

仕事に飽きた

ある程度仕事に慣れ、技術を習得すると、物足りなくなる方の方が多いです。特に向上心が強い方にとってみれば、もっと成長したい、もっと難しい事にチャレンジしたいと考えるでしょう。

通勤が遠い

就業場所に関する不満というのも、昨今非常に増えています。特に、都内ですと満員電車で1時間以上の通勤は当たり前になっていたり、転勤の場合に前職より遠くなることが殆どでしょう。尚且つ、職場の移転や、転勤などもあります。通勤は毎日の事ですから、生活や健康への影響も大きく、また転勤の際に転居が出来ないと通勤不可能になる距離も発生します。

これらの不満は解消できるのか!?

いずれも、小さな不満から、大きな不満へと変化する可能性を含んだものばかりです。これらを何かの工夫や取り組み等で解決できるのでしょうか?

給与が少ない

まず、給与が少ないと感じる根拠を理解しましょう。そして、その給与がどれくらい増えれば小さな不満になるのかを考えましょう。その上で、勤務先の給与制度等を確認してください。つまり、どうすれば給与があがるのか?という事です。企業によっては、資格取得や社内試験、仕事の成果など、何かを成し遂げることで給与が上がる制度にも関わらず、社員が理解していない場合もあります。また、継続年数に応じて給与が大きく上がったり、数年おきに昇格等で大きく給与が増える制度もあります。つまり、『あと1年いれば月給数万上がる』等です。制度を理解すれば、給与の上がり方が分かります。もしくは、年俸制等の場合は、ある程度の交渉が必要になるかもしれません。知らずに損をしないように気を付けましょう。

残業が多い、休みが少ない

この場合は、まずその要因を理解しましょう。なぜ残業が多いのか?工夫したら減らせるのか?どれくらい減らせば良いのか?休みが少ないのはカレンダーで決まっているのか?就業時間に換算するとどうなのか?休暇は取れているのか?残業に関しては、その職場の雰囲気という厄介な要素があって、忙しくても忙しくなくても常に残業しているような環境があります。その場合は職場の考え方を変えないと難しいかもしれません。しかし、個人レベルの事で言えば、工夫で減らせる場合もあります。また、休日に関しては企業の規定で日数が決まっている場合が殆どなので、休みの少ない業界や、古い制度のままの企業に関しては、年間休日自体の設定が少ない場合があります。制度で決まってしまっているのか、自身の工夫等で改善されるのかを見極めましょう。

苦手な人がいる

人間関係の問題は、極論言ってしまうとお互いの問題です。まずは、自身が工夫したり変わる事で、解決出来ないかを考えてみましょう。しかし、相手が変わらない場合は、他人がどうこうできないというのも事実です。その場合は一対一で行動を起こさずに、周りを巻き込んだり、それでも無理な場合は、距離がおける方法を考えましょう。人間関係の中で大事な要素が、『距離感』です。距離が近づき過ぎたと思ったら、少し離れる努力をしてみましょう。部署異動を願い出て距離を遠ざけるのも一つの方法です。

仕事に飽きた

仕事を一生懸命行った結果、物足りなくなってしまうというのは良い事です。時代と共に、この理由での転職は、『キャリアアップ』と言われて、応援されています。しかし、その前に今の職場で解消できないかも考えてみましょう。まず、社内を見渡してみてください。ご自身がやってみたい仕事、難しいと感じる仕事はありませんか?もしあれば、その仕事をどうしたらご自身がやらせてもらえるか、携われるかを考えてみましょう。また、社内に無くても、同じ業界や世の中の最新情報に目を向けてみましょう。ご自身でチャレンジ出来る事はありませんか?

通勤が遠い

通勤が遠いのはなぜでしょうか?元からでしょうか?何かの原因で遠くなってしまったのでしょうか?転居出来ない理由は何故でしょうか?将来的にはどう考えていますか?就業場所というのは、色々な影響で変わる事があります。昨今の転職理由に多い転勤に関しても、キャリアの上では成長に繋がる場合も多いのです。本当に転居をしない事が重要なのか、転職してまで就業場所を変えるべきなのか、現状と将来的な目線迄持って、考えてみましょう。

小さな不満の解消の仕方は様々

小さな不満は大きくしない事が大事です。仕事に苦労は必ずあります。

まずは、現職で解消する方法を考える事!!

小さな不満 ⇒ 大きな不満 ⇒ 転職、とならないように、まずは解消する方法を考えてみましょう。その際に、各小さな不満の場合の事例を参考に、1人だけで悩まない事、視野を広く持つこと、将来の事まで考える事、等が大切です。特に経験豊富な先輩は、経験から解消法を知っているかもしれませんし、勤続年数が長い人は、続けてこられた何かを持っているはずです。

転職活動はすぐに動かないように!

もし、どうしても現職での解消が難しいと思った場合は、まずは転職した場合のリサーチと、シミュレーションをしてみてください。例えば、『給与が少ないから転職だ!』と思って活動してみたら、給与が上がらない、なぜ?もしかして現職の給与は意外と高かったのか?という場合もあります。また、給与を上げるための転職の仕方というのもあります。そして、給与の考え方も、目先の給与、将来的な給与、生涯給与、実質給与・・・、という風に様々であり、現状の不満だけで動くと後で後悔する場合も少なくありません。

世の中も変わってきています!

今までの内容で、『制度で決まっているから仕方ない』という要因も幾つかありました。しかし、時代の流れで変わっていく要因もあります。例えば、残業時間に関しては、今後の法改正で改善していく見込みがあります。年間休日が、時代の流れや組合との交渉で増えたという事例も出てきています。世の中の情報に敏感になり、受け身な考え方だけではなく、積極的に行動してみることも、ご自身を良い状況に導いてくれるかもしれませんね。