ポータブルスキル(portable skill)とは、読んでそのまま「持ち運びできる能力」という意味です。職場が変わっても、さらには業界や職種が変わっても、活かすことができる能力ということになります。
ポータブルスキルの構成要素
厚生労働省が提唱しているポータブルスキル。その構成はまず大きく3つです。
- 専門技術・専門知識
- 仕事のしかた
- 人とのかかわり方
このうち、仕事のしかたと人とのかかわり方はさらに分類されている項目があります。
【仕事の仕方】
- 現状の把握
- 課題の設定
- 計画の立案
- 課題の遂行
- 状況への対応
【人とのかかわり方】
- 社外対応
- 社内対応
- 部下マネジメント
項目だけ見ているとちょっと仰々しくとらえてしまいそうですよね。「そんなスキル身についているのかな?」と感じる人もいるかもしれません。しかし日常業務に落とし込んでみると、それぞれの項目に対して日頃からどのように向き合っているのか、あるいはご自身がどのようなことを得意(不得意)と感じているか、などが確認できる内容です。
ポータブルスキルを活かした転職活動
冒頭でも書きましたが、ポータブルスキルとは持ち運ぶことができるスキルです。新たな環境で活かすことができるのですから、社内でのキャリアチェンジはもちろんのこと、転職においても活用しない手はないですよね。
経歴書や面接での自己PRにもつながるポータブルスキルにはどのようなものがあるでしょうか。
まずはご自身がアピールしたい知識や経験が、ポータブルスキルであるかどうかをチェックしてみましょう。チェックするポイントとしましては、たとえば、所属する企業や組織でのみ通用するスキルかどうかという点が挙げられます。いわゆる「ローカルルール」といわれるものや、独自のシステムに精通しているという場合です。別環境に持ち運んでも活用できない、あるいは評価につながることが難しいので、ポータブルスキルには当てはまりません。
ほかには、取得した(取得予定の)資格はどうでしょうか。これはポータブルスキルと言っても良いのかもしれません。さらに付け加えるならば、その資格を取得するために勉強したことにより深まった知識、あるいは資格を取得したことで担当業務の幅が広がった実績などがあれば、これこそポータブルスキルと言えるでしょう。
ポータブルスキルを振り返る
ポータブルスキルを振り返る作業で大事なのは「成果(結果)実績がある事項を挙げる」作業で終わらせず、結果をもたらした「仕事のしかた」や「人とのかかわり方」まで細分化することです。
成果実績をポータブルスキルの構成要素である【仕事のしかた】の各項目に照らしてみましょう。
「現状の課題を把握」し、「目標を定め」、「具体的に実行した」ことで「得た状況」であると言えます。それぞれのプロセスでどう考え、どう行動したかによって身についたスキルのことですから、そのように考えると成功体験だけでなく、うまくいかなかった体験もポータブルスキルとしてとらえることができるとわかります。
ご自身のポータブルスキルを知り、高めるには
日常業務として遂行している様々な事のなかに、ポータブルスキルと言える事はあります。ご自身のポータブルスキルを知り、より高めていくために、日頃からできることとして下記のようなことが挙げられます。
たとえば…
・あたりまえのようにやっていることについて深堀りしてみる
前任者から引き継いだ業務をそのまま続けている、あるいは、ほかの方法をためしたことがない業務はないか、など。
・なぜそれをやっているのか考えてみる
「そもそも何のためにやっている業務なのか」を考えることで、別の問題点や新たな手法を見つけるきっかけになり、スキルを高める機会になるかもしれません。
・第三者の意見、視点を取り入れる
日常業務というのはご自身のとってあたりまえのことになっているため、なかなか客観的に考えることができないものです。関係している方々に第三者目線からのアドバイスをもらったりすることで、客観的に自身のスキルを確認することができます。
応募企業選定の参考に
求人の要件や企業が求める人物像をご自身のポータブルスキルと照らし、応募企業を選定することができます。
また、現状は希望するポジションの要件に満たないといった場合には、今後どのようなスキルを高めることができればチャレンジ可能となるのかを確認することもできます。
ポータブルスキルはご自身のスキルの「いまここ」を確認する指標であり、「こうでなければならない」というものではありませんし、弱みに向き合ったり、強みをより伸ばしたりすることも可能です。
技術者としての専門知識・専門技術の深堀りをはじめ、「ポータブルスキルについて詳しく知りたい」、「第三者目線のアドバイスがほしい」、「転職・キャリアチェンジのために振り返りたい」、などのご希望がございましたら、技術職専門コンサルタントの私たちがお手伝いしますので、ぜひご相談ください。